「治す」ということ

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『治す』とは?

「治す」とはなんでしょうか?
日々患者さまと向き合っていると、この「治す」という言葉を非常によく耳にします。
ただ、この「治す」もしくは「治る」という言葉の曖昧さが気になってしまいます。

  • 「以前の腰痛は治ったんだけど、また痛くなっちゃって…」
  • 「とりあえずこの痛みを治してくれればいいよ」

そんなニュアンスで使われることが多いこの言葉。
いったい何を持って「治った」のか?

  • 一時的に痛みが引いた状態を指すのか
  • 再発しないような状態を指すのか

少なくとも後者ではないような気がします。
私たちの業界において「治す」とは、少なくとも前者ではありません。
なぜなら人間は生きている間、常に体を動かし使っているから。
一度痛みが引いたからといって「二度と痛くならない」なんて保証はない。

でも私にも「治したい」と思っていた頃はありました。

「治したい」と思っていた、かつての自分

免許取りたての頃、『治せる治療家』になりたかった。
「患者さまの痛みや辛さ、お悩みを解決できる鍼灸師になりたい!」
「自分がたくさんの人たちを救うんだ!」
と思っていました。
そのために、色々な症状に効果的な鍼の方法や理論を勉強しました。

  • 書籍を購入→自分や家族、スタッフの体を借りて試行錯誤してみたり
  • セミナーに参加して、講義を受けたり実技を学んだり

ああでもないこうでもないともがきながら少しずつ成長していったように思います。
自分が成長していくにつれて思ったこと。
それは「自分が治している訳じゃないんだな」ということ。

【治療家が治している訳ではない】

これはあくまでも私個人の意見です。

  • 治療家が「治している」のではない
  • 患者さまの身体が「治っていってる」だけ
  • 自分が「治している」と思うと上から目線になり、謙虚さがなくなる
  • 謙虚さがなくなると、それは態度や施術にも現れる
  • 態度や接し方の良し悪しを、患者さまは敏感に感じとる
  • 患者さまと信頼関係が築けなくなる

こういった理由から、私は「自分が患者さまを治す」と思うことをやめました。
ただし、勉強を辞めたということではありません。
あくまでも私のスタンスとしてということです。

【治療家はあくまでもサポート役である】

『患者さまが治っていくのを手助けするサポート役が治療家である』というのはよく言われることですが、本当にそうだなと思います。
あくまでも主体は患者さま。
治療家は患者さまの身体の自己治癒力を上げて、治りやすい状態になるようサポートする。

このくらいのスタンスがちょうど良い距離感なのだと思います。
患者さまでも時々、「あなたに全部任せるから何とかして!」というスタンスの方がいらっしゃいますが、そのスタンスは残念ながら間違っています。

最終的にはあなたの身体です。

  • ご自身の身体をどうしたいのか
  • この先の人生をどう生きていきたいのか
  • どんな趣味や楽しみや生き甲斐があって、そのために身体をどういう状態にしていきたいのか。

こういった目的が重要です。
これらを全て治療家に丸投げしてしまうのはあまりにも無責任です。
もし仮に一時的に良い状態になっても、目的がなければまた元に戻るだけです。
「いまの辛さを何とかしたい」という気持ちは分かりますが、それだけでは不十分ということです。

あなたはご自分の体をどんな状態にしたいのか?
それを認識した上で私たち治療家を適切に利用して頂けたらと思います。

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