鍼は痛いところに打つもの?

鍼は痛いところに打つかどうか。
私は学生時代から、痛む患部には施術をせずに症状を緩解させる鍼灸師が「良い鍼灸師」だと思っていました。
何となくカッコいいですよね?😊
もしかしたら同じように思っている方もいるかもしれません。
でも、本当にそうでしょうか?

今回はこの疑問に対する私なりの考えを述べていきたいと思います。

目次

局所への鍼は半分正解

結論から言うと、痛いところに鍼を打つのは「半分正解」だと思っています。
なぜ半分正解なのか。
それに対する答えは「ゲートコントロール理論」です。

ゲートコントロール理論とは何か?

ゲートコントロール理論は、1965年にメルザックとウォールが提唱した、脊髄にある「ゲート(門)」が痛みの信号を調節し、触・圧覚などの別の刺激が入ると痛みが軽減されるという理論です。ゲートコントロール理論とは

私たち鍼灸師はこれを専門学校で習うのですが、めちゃくちゃ簡単に例えると「痛いの痛いの飛んでけー!」ってやつです。
やってもらうと、不思議と少し痛みが軽減しましたよね?
こんな理屈があったのです😊
お母さんがやってくれるからという事もあったかもしれませんが笑、痛いところに「さする」という別の刺激が加わることで痛みの刺激が軽減されたのです。
鍼灸の臨床現場でも、このゲートコントロール理論や過緊張している筋肉を緩めるという意味において局所への施術はよく行われていて、私も普通に使っています。
ただそれだけで十分かというと、そうでもない。

ゲートコントロール理論には弱点もあります。
それは「痛みが軽減するのは短期的である」という点です。
持続時間には諸説ありますが、経験上では1〜2日くらい。

そこで残りの半分が重要になってくる訳です。

局所への鍼のが半分不正解な理由

専門学校の学生時代の私は「痛いところに鍼をするのは邪道だ」と思っていました。
その頃そういう先生に師事していたということもあると思います。
痛いところに施術しないで痛みを治すというのは、北斗の拳のトキに憧れていた私にとってある種の「ロマン」です。

私だけでなく、そう考えている鍼灸師は割と多いと思います。

東洋医学の考え方・身体観として「局所だけでなく全体として診る」という思想があります。
身体は局所だけでなく様々な部位が「連動」することで動いています。

臨床においても、局所だけに施術していてもなかなか良くならないというケースがあります。
「施術した直後は調子が良いけど、すぐ元に戻ってしまう」という事を長期間繰り返しているケースです。
こういう場合に痛む患部から離れたツボに施術をしたらあっさり改善した、というケースはよくあります。

ただ、局所に全く触れずに成立するかというとそれも難しい。
なぜなら「患者さまの理解・納得を得られるか」が分からないから。
これが遠隔治療の弱点だと思っています。

よっぽど丁寧に説明していかないと、説明したとしてもそれだけでは難しいだろうと思います。
なぜかというと、先ほどのゲートコントロール理論です。
痛みのある局所に施術をしてもらうことで「やってもらった感」が出るからです。
そして短時間ではあるものの、実際に痛みも軽減する。
なので局所への施術は有効だと思いますし、逆に一切患部に触らないと、患者さまの気持ちとしては「私は腰が痛くて来たのに…」というちょっとした不満が残ります。

結局はどちらも使った方が良い

なので、どちらが善でどちらが悪ではなく「双方の特徴を活かす」ということが重要だと思っています。
私も実際どちらも使って施術を行っています。

「鍼灸師あるある」なのですが、
「私はこういう施術で患者さまに良くなってもらいたい!」という思いのある治療家は多いです。
ただ「こういう施術」というやり方に固執していて「患者さまがどうなりたいのか」という所を置き去りにしてしまっていてはいけない、と思っています。

自分のスタイルは保ちつつ、患者さまが「どうなりたいのか」に重きを置いて仕事に励んでいきたいと思っています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次